院長コラム

白内障手術における眼内レンズ選択「Mix & Match」とは

3焦点  / EDOF  / Finevision  / Intensity  / PanOptix  / Vivity  / 多焦点  / 手術相談  / 白内障  / 眼内レンズ  / 老眼

Mix & Match(ミックスマッチ)とは

Mix & Match(ミックスマッチ)とは、左右の目に異なる種類のレンズを入れて、それぞれの長所を組み合わせる方法です。最近、特に多焦点眼内レンズを用いた手術の際に良くとられるようになった眼内レンズの選択方法で、眼内レンズのメリット・デメリットを異なるレンズで補い合うように使用することで、それぞれの得意な焦点距離を活かし、デメリットである夜間の異常光視症の軽減などが期待できる手法になります。

一例として:

レンズタイプ 狙い
右眼 EDOF(例:Vivity) 遠方〜中間を自然にカバー
左眼 多焦点(例:PanOptix) 近方も見えるように補う

→ こうすることで、

  • 日常生活のほとんどを裸眼でカバーでき、

  • 多焦点の欠点である夜間の異常光視症も片眼だけなので軽減される、

  • 両眼での視覚的バランスが取りやすい
    という利点が得られます。

基本の用語整理

多焦点眼内レンズ(Multifocal IOL)

  • 遠方・中間・近方の複数距離に焦点を合わせられるように設計されたレンズ。

  • 代表例:PanOptix、Intensity、FineVision、Gemetric など

  • メリット:眼鏡依存度が低い(特に近くも見える)

  • デメリット:ハロー・グレア(光のにじみ)などのリスクがある

EDOFレンズ(焦点深度拡張型眼内レンズ)

  • 一つの焦点を「伸ばす」設計。

  • 遠方〜中間距離にわたって自然な見え方を提供する。

  • 代表例:Vivity、Miniwellなど

  • メリット:自然な見え方・コントラスト感度(見え方の質)が高い

  • デメリット:近方(読書距離)はやや弱い

  •  
  •  

ミックスマッチのメリット・デメリット

メリット デメリット
裸眼での見える範囲が広く、自然な見え方に近い 両眼の見え方の「違い」に慣れる必要がある
ハロー・グレアが少ない 適応できない人もいる(脳が左右の情報を統合できない場合)
生活スタイルに合わせたカスタマイズが可能 適切なレンズ選定には経験豊富な医師の判断が必要

 

よくある組み合わせ例

組み合わせ 特徴
Vivity(EDOF)+ PanOptix(三焦点) コントラスト重視+近方補強型。自然な見え方。
   
EDOF+単焦点(モノビジョン寄り) 遠方の質重視。夜間運転などに最適。

まとめ

ミックスマッチ=左右の眼に異なる特性のIOLを入れることで、遠・中・近の見え方を最適化する方法。

とくに、「夜間運転もしたい」けど「手元も裸眼で見たい」

というような人には、とても良い選択肢になります。

 当院では多焦点眼内レンズの力を最大限に引き出すために、手術前の検査において、最新の光眼軸測定器であるARGOSを使用しており、これにより高い精度で患者様の眼軸を測定することができ、屈折誤差が最小限となる眼内レンズ度数の選択が可能となっております。また、ARGOSは他社の検査機器では測定できないような進行した白内障でもほぼ100%測定が可能となっており、多くの患者様の術後視力の向上に繋がっています。また、角膜形状解析装置であるCASIA 2を使用することにより、通常の白内障手術前に測定される角膜前面乱視だけではなく、角膜後面乱視や不正乱視などによる高次収差の測定が可能となり、多焦点眼内レンズの適応の有無や術後の乱視の軽減を高い精度で行うことができております。当院ではさらに、ORAシステムという手術中にリアルタイムで眼の状態を測定し、世界中のビッグデータと比較することで最適な眼内レンズ度数や乱視軸を選ぶことができる器械を導入・使用しており、患者様の術後の屈折誤差を可能な限り少なく、精度の高い手術を受けて頂けるよう心がけています。

 当院では手術するかどうか迷われている方検診などで白内障を指摘され今すぐ手術が必要ではないものの将来的な選択肢を知りたい方など、すべての患者様に正しい情報を知ってもらい、将来を見据えた治療を選択していただきたいと考え、白内障無料相談会も開催しております。どうぞお気軽にお問い合わせください。