ダブって見える、2重に見える

物が二重に見える! その原因は?

ダブって見える目の疲れや乱視、眼科疾患や脳疾患などによって、物が二重に見えることがあります。物が二重に見える症状は、片目で見た時に生じる「単眼複視」と、両目で見た時に生じる「両眼複視」に分けられます。
単眼複視は近視や遠視、乱視、白内障によって起こります。そして両眼複視は、脳神経麻痺や目を動かす筋肉の麻痺によって、両目が違う方向を向くことで生じます。
両眼複視が急に見られた時は、脳神経障害や脳卒中などの可能性が高く、頭痛やめまいを伴う際は速やかに医療機関へ行きましょう。
迅速な治療が必要ではない場合でも、物が二重に見える場合は放置せずに眼科へ相談しましょう。

「物が二重に見える症状」を引き起こす疾患

屈折異常

屈折異常は主に、近視と遠視、乱視に分けられます。健康な方の場合、目に入る光は角膜と水晶体で屈折し、網膜に像を結ぶことできちんと物を見ています。
眼鏡やコンタクトレンズの装用をはじめ、レーシックやICL手術などによって治します。

乱視

角膜は目の一番外側に位置している部位で、通常は自然な丸みを帯びています。乱視になると角膜の表面が歪んだりデコボコしたりするため、目に入った光が不規則に屈折してピントが合わなくなります。その結果、物が二重に見えてしまうのです。また、乱視がひどくなると、さらに物が歪んで見えるようになります。さらに、子供の乱視は弱視の原因にもなるため、放置は禁物です。

白内障

年とともに、眼球の中にある水晶体が少しずつ酸化することで白く濁る疾患です。発症時期は40代からで、80代になると多くの方が白内障に悩まされています。また、最近は若い方の白内障が増加傾向にあります。水晶体が白く濁るため、「物が二重に見える」といった症状をはじめ、視力低下や視界が白く見える、眩しく感じるなどの症状がみられます。

眼精疲労

身体を動かし続けると疲れるのと同じように、目もパソコンやスマートフォンなどを長時間見続けてしまうと負担が増えます。その結果、目の疲れや乾き、視界のかすみ、物が二重に見えるといった症状が現れるのです。この状態が眼精疲労です。目周りの筋肉が緊張し続けるため、目の調節機能が一時的に悪くなります。また眼精疲労は、目の痛みや視界のかすみだけではなく、頭痛や肩こりを伴うこともあります。

老眼(老視)

年とともに水晶体のしなやかさが失われて硬くなると、ピント(焦点)を合わせる機能が衰えます。老眼は40代を迎えると、自覚症状が現れたのをきっかけに気付く方が多くなります。また、近年ではスマートフォンややパソコンの操作などによって、近くにピントを合わせる機会が増えたことで、老眼になって目の負担がかかってしま方が増加傾向にあります。それにより、頭痛や肩こりが慢性化するという負のスパイラルに陥りやすくなります。老眼の症状が現れた際は、できる限り早めに眼科へ受診し、ご自身に合った矯正方法を行いましょう。

斜視

片方の目が物をまっすぐ見ようとしているのに対して、もう一方の目が別の方向を向いている状態です。内斜視や外斜視、上下斜視に分けられます。物が二重に見える斜視は、目を動かすのに必要な筋肉の異常をはじめ、外傷や他の疾患などによる麻痺性斜視によって起こります。麻痺性斜視は重篤な疾患によって起こるものでもあるため、心当たりのある方は速やかに眼科へ相談しましょう。

中心性漿液性脈絡網膜症

網膜の中心部である「黄斑」に水が溜まって浮腫んだことで、一部に網膜剥離が生じた結果、視力低下や視界の中心が見えなくなる、物が歪んで見えるなどの症状が起こる疾患です。「ちゅうしんせいしょうえきせいみゃくらくもうまくしょう」と読みます。一昔前は「中心性網膜炎」という疾患名でした。
30〜50代の働き盛りの男性に多くみられます。片目に起こるケースが多いのですが、両目とも起こることもあります。予後は比較的良好で、3〜6ヶ月のうちに自然治癒されるケースが多いです。